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美容医療のその先

美容医療のその先


肝斑(両頬にできやすいモヤモヤとしたシミ)の治療で、トラネキサム酸という薬を内服される方からよく聞かれる言葉が「これって、いつまで飲むのでしょうか」です。


他にも、局所のシワ治療でコラーゲン注入やヒアルロン酸注入を行なっておられる方、そして注入法についてのご相談に来られる方がよく言われる言葉が「これって、ずっとやり続けることになるのでしょうか」です。


テノールというリフトアップを目的とした高周波治療器による施術をされている方も同様です。「これって、いつまで続けるのでしょうか」、「何回くらいするのでしょうか」というご質問は多いです。


具体的に「肝斑」という色素沈着を例にして書きますと、トラネキサム酸を内服した場合、効果があれば1ヶ月くらいからうすくなり始めます。一般的に3~6ヶ月ほど使用するというのが多いです。また、1年以上の内服でもほとんどの場合問題はありません。実際に他のクリニックで2年くらいトラネキサム酸を内服しているという方がおられます。


私の考えでは、とりあえず半年~1年くらいの間でいったんはやめてよいと思っています。それくらいの期間であれば、効果がある場合はもうかなりうすくなっていると思いますし、もしも効果があまりないと感じられる場合は止めて、ほかの手段を考えるという判断もできるからです。


このもう止めようかという頃に聞かれる言葉が、「やめたら、シミはまた出てくるのでしょうか」です。



すぐに濃くなるということは、私の経験上ほとんどありません。ただ、肝斑は女性ホルモンのバランスなど体全体の影響を受けてできていますから、将来的にもしもまた体調がおかしくなることがあれば再び出現するかもしれません。その可能性は否定できませんが、もし出てくればその時点でまた内服を再開すればよいと思います。


勿論、必ずしも内服をしなければいけないというものでもないとも思います。気にならなければ、そのまま様子を見ればよいのです。


それから、コラーゲンやヒアルロン酸注入についてご相談される方がよく「これって、時間が経てばなくなるでしょう」と聞かれます。


願望としては、もっと長く持ってほしい、極端には永久に持ってほしいという気持ちがあるたがためのご発言ですが、この考え方に対しては、私は異論があります。


逆にもしも永久に持つとしたらどうなるのでしょうか。


例えば鼻唇溝(俗にいう法令線)に何十年も存在するような材質のものを注入したとします。その直後は見た目にもきれいで満足かもしれません。


しかし、その後その方がどのような運命をたどられるかはわかっていないということも忘れてはなりません。


大病を患いかなり痩せられるかもしれません。これは絶対にそうならないとは誰もいえないと思います。もしも病気になった場合、体も痩せてしまうかもしれません。問題はその時です。


鼻唇溝の注入物は変化しませんからその注入物の影響で逆に鼻唇溝が盛り上った線状になってしまうことも考えられます。また、病気にはならなくとも年齢が高くなるだけでも頬が痩せたり、新たなたるみが出現するなどの影響で目立つ可能性も否定できません。


ですから、私は将来どうなるかがわからないのだから、長年持つというものを注入するということには抵抗があるのです。


むしろ、短期間で吸収される材質のものの方がリスクが低いと思います。


上記の「気になったときに治療をする」、「気になっている今の状況を改善させる」という考え方が、私の治療方針の基本となっています。


シミもシワも、肌のたるみも、それが直接の原因で生命に影響を与えるとか、身体に機能障害をもたらすということはほとんどありません。もしも、何らかの障害が起きたとしても、全てはその方の「心」を経由して、発症に至っている場合がほとんどであると思います。


将来的にその部位への治療が必要かどうかは、最終的にはその方が気になるようになり、治療を受けたいという気持ちがおきて、施術を希望される時にご相談いただくということで良いと思います。


そして、最終的には、もう気にならなくなるかもしれません。この「気にならなくなる」という状態が、最終的な落ち着き先ということになります。


私は、これが保険診療における「治癒」という状況に相当するのではないかと思っています。もう少し詳しく書けば、「症状はある程度残っているかもしれないが、その状況を心としては容認できており、そのままであっても心身一体として生活していける状態」ということになります。決して我慢するとか辛抱するという状態ではありません。


以上のように、私は美容医療にはその先があると思っています。そこに至るまでの診療が美容医療なのだということです。この「その先」は個人個人の皆様の中にありますから、いつなのかはわかりません。


しかし、「自分がいつごろになればそう思うのか」というように、今の段階であまり深刻に考える必要は無いでしょう。今の時点でのお悩みを解決もしくは改善することを考えられるだけで良いと思います。


以上の理由から、ご来院される皆様とは診療上長い年数のお付き合いになるかもしれません。勿論、頻繁に来られるということではなく、5年~10年経ってから来られるということでも良いのです。患者様の方でご理解いただけましたら、私としましてはそれが順当な経過であると思っています。


私が「院長紹介」ホームドクターのような方向性を目指している旨を書いているのは、このような理由からです。

保険診療でも、患者様が治ってもう病院には来なくても良い状態になるというゴールがあるのと同じです(※健康診断等の予防医学、健康増進目的の診察受診は病気とは違いますので、来なくても良いという範疇には含まれません)。
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