院長の日記
2002.01.19 手術法と腕のいい医者について
単にラーメン屋といっても色々あります。行列のできる店から、・・・・な店まで様々です。手術も先生によってかなりやり方が違っていると思います。
たとえば脂肪注入では、学会での論文を読んでも細かい部分は先生によってずいぶん違っています。
では、どれが正しいのでしょうか?正解は無いと思っています。どの先生も自分の経験からくる解決法としてされているのでしょう。基本的な方向性が間違っていなければ根本的には間違いは無いのだと思います。
逆にまったく同じ方法で多くの先生がされたとしても、結果は違うように思います。
同じ論文を参考にしても、先生によって解釈が微妙に違ったり、言葉では表現できない感覚もあるからです。ですから、ある手術法について論議を行うにしても、一般的な評価しかできないと思います。同じ埋没法を論じる場合でも、A先生の埋没法とB先生の埋没法の解釈は微妙に違うと思います。手術の腕は一概には決められません。
たとえば、先日埋没法の話で、ある先生は施術中に目の裏側に入れる角板について、眼球を保護するだけだと言いましたが、私はちょっと違うのです。私にとっては角板の使用はそのことと同時にもう一つ重要な意味があるのです。このように同じ行為でも解釈が違う事はあり得るのです。しかし、この使用の意味が違うからと言って、手術の技術の優劣がつくわけではありません。技術とは別問題です。結局二重をつくるという目的を達成する事が重要なのですから。ただそれぞれの先生によって同じように見える埋没法でも解釈、解決法が違っている、違っていてもおかしくはない、ということが言いたいのです。
同一の先生でも、受ける評価は違ってくる場合があります。
たとえば同じ先生が二重の埋没法を行ったと仮定した場合に、Aさんが受けられたときにはうまくいったけど、Bさんの時にはあまりうまくいかなかったとします。そうしますと、Aさんにとっては「腕のいい先生」ということになりますが、Bさんにとっては「あまりいい腕ではなかった」という事になってしまいます。
しかし、術前のカウンセリングの時に先生がBさんには埋没法があまり適していない事を説明していて、そのことをBさんもある程度承知していて埋没法を受けられたとしますと、意味は違ってきます。
そこではまったく逆の評価になっているわけです。
では、「腕のいい先生」を見つけるとして、何かいい目安はないのでしょうか。私には今のところわからないのです。結局皆様の方から見て、カウンセリングの時に納得がいくと同時に、雰囲気や感じが自分と波長の合いそうな先生、自分と相性のよさそうな先生に診てもらうことがいいでしょう。そういう先生なら、どんな経過でも話を聞いてもらえるし対応してもらえると思うからです。
2002.01.16 手術時間について
「手術時間はどれくらいですか」と聞かれた時に、1時間と言うと、短いと言う方もおられれば、長いといわれる方もおられます。時間の感覚的な長さは人によってかなり違うようです。
私が病院で手術をしていた頃は、火傷の人の植皮は2~3時間はかかりました。面積が広かったり皮膚をずらして移植する皮弁作成が加わると5時間くらいかかる事もあります。顔の骨の複雑骨折では10時間かかった事もありました。
整形外科医の頃は、手足の手術は術中に出血しないように手足の根元をゴムバンドで縛って行いました。そのため手術には制限時間があります。制限時間内に手術を終わらしたいために、気分的にはどうしてもせっかちになりがちでした。
整形外科から形成外科へ移った時には、形成外科の先生が手術に際して気持ちがゆったりとしているように感じ、驚いた記憶があります。整形外科の先生の手術に関する私のイメージは「テキパキ」、逆に形成外科の先生では「コツコツ」です。
2002.01.07 賢者は先人より学ぶ。愚者は歴史より学ぶ。
この言葉は、ある大学の教授が数年前に私の大学の同門会で言われました。
いろんな研究、学問は、昔の方々の研究の成果を元にしてどんどん築かれていくものです。ですから自分の研究の成果を上げるには、今までのいろんな方々の研究データを利用、参考にしてその上にさらに進めていくことが大切です。
愚者の「歴史」とは「自分の経験」のことをいいます。今更自分でコンピューターの原理を解明する事から始めても、今の最先端の技術にはとうてい追いつかないのと同じです。自分一人ですべてを行うことは不可能です。
現在、医療技術はどんどんスピードを上げて進んでいます。アンチエイジング治療も多くの器械があります。色々な治療を把握するためには、どんどん最新の情報を得る必要があります。
2002.01.05 最後の決め球は?
2002年の始めでもありますので、マジな話を書きます(?)。
一つの治療について多くの方法があります。
たとえば二重まぶたを作るにしても埋没法や切開法があります。切開法も部分切開法といわゆる普通の切開法があります。埋没法も目の裏側の結膜から入る方法(経結膜式)と、皮膚側から入る方法(経皮的埋没法)があります。経結膜式埋没法も微妙な違いを区別すれば、かなりな数の方法があると言えるでしょう。それらの方法でどの方法が良いのかという事を決めるのは非常に難しいと思います。
なぜなら方法のみで優劣を決定できないからです。手術法と術者の技量の他に、治療を受ける方の局所の症状もその治療がうまくいくかどうかの要素になるからです。
大切な事はそのクリニックの先生の一番得意な方法で行う事が良いのではないかと思っています。それがその先生の今までに得てきた経験からくる現在の解決法だからです。
しかし厳密に言うとそれだけでは無いのです。それは医師の手術法を選択する考え方です。これは技術以前の段階なのです。
これだけではわかりにくいと思いますから、具体的に説明します。
野球に関する事ですが、以前にある番組でセ・リーグとパ・リーグを代表する捕手に同じ質問がされました。それは「決め球をどのように決めるか」と言う質問でした。その時の回答ですが、1人は「相手の打者の弱点をつく」と言い、もう1人は「投手の一番いい球を投げさせる」と言いました。
これは非常に興味のあることでした。私の言いたいことは、この違いなのです。
「相手の弱点」とはこの場合、局所の状態を十分診てそれに合わせて手術法を決めると言うことになるでしょう。「一番いい球」とは自分の一番得意な手術法を多少のバリエーションも加えつつ行うことになるでしょう。
医者の思考法を無理にこの2つのタイプに分ける必要は無いと思いますが、ほとんどの医師はこの両者を組み合わせて判断し、日常の診療を行っていると思います。しかし強いて言えば、おそらく基本的にはどちらかに偏っているのだろうと推測します。私はどちらかというと、「相手の弱点をつく」タイプだと思います。
以上が今の私の考えですが、これからもどんどん経験は増えていきますので、マリナーズの佐々木投手のフォークボールの様な技があれば考えも変わるかもしれませんし、それを目指したいと思います。
2002.01.04 まっすぐにしゃべれば、光線のように心にとどく。
皆様、明けましておめでとうございます。
上記の言葉は、「アメリカ・インディアンの書物よりも賢い言葉」(扶桑社文庫)にあります。この本は書店でたまたま見かけた本ですが、読んでいてすばらしい言葉がたくさんありました。
この他にも私が気に入った言葉がたくさんあります。
ひとは山と蟻の中間だ。
家族の間に調和が保てれば、人生は成功だ。
怒りは、自分に盛る毒。
感謝する理由が見つからなければ、落ち度はあなた自身にある。
目で判断せずに、心で判断しろ。
偶然の出会いには、深い意味がある。
血はつながらなくても、心はつながる。
病んだ生き方を改めれば、ひとは癒される。
笑うと心もからだも喜ぶ。
この他にもすばらしい言葉がありましたが、以上の言葉が特に胸に響きました。
本年もがんばりますので、宜しくお願いいたします。
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