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治療経過について

治療経過について

どのような治療であっても、ご希望に添うように 務めておりますが、時には事前に予想した経過と違ってくる場合もあり得ます。

その時の私の考え方を以下に書きたいと思います。

以前は「私の考え」にまとめて書いておりましたが、あまりにも長すぎるので分割することにしました。(実行するまでにかなりの時間を要してしまいましたが・・・)

ヒューマン・エラーについて(07/12/15) 

 

ネット上でも、美容治療についての皆様のいろいろなコメントを読ませていただいていますと、「失敗」という言葉が出てくることがあります。

多くの場合、「~で失敗した」とか「失敗されることが怖い」などの表現で使用されています。私はこの題名に意識して「失敗」ということばは使いませんでしたが、「失敗」について私の考えを書かせていただきます。

一般的に医師は「失敗」という言葉が嫌いです。当たり前かもしれませんが、少なくとも敏感であると思います。正直なところ、私も例外ではありません。

私は個人的に、一般の方が言われる「失敗」の中には、本当は失敗とは言えない場合も含まれているにもかかわらず「失敗」と呼ばれている場合があると思っています。

 

例えば、事前の説明不足があります。

その施術の術後経過としてある症状が出現することは、想定内の事であるにもかかわらず、患者様御本人(以下、敬称略)が知らされていなかったもしくは理解していなかったという理由から、認識していなかったために、心理的に不安になってしまう状況になってしまったという場合なとがその例になります。これも、医師が事前に説明していなければ、そういう状況になってしまう可能性がありますが、事前に説明することで不安な気持ちになることをある程度緩和させるなどもできるわけです。

 

ここでは、前述の例も含めて「いわゆる失敗」と呼ばれる場合について、術前と施術、施術後に分けて考えていきたいと思います。

 

人の失敗を「ヒューマン・エラー」といいます。訳せば「人的エラー」ということになります。

ヒューマン・エラーとは、「人間の決定または行動のうち、本人の意図に反して人、動物、物、システム、環境の機能、安全、効率、快適性、利益、意図、感情を傷つけたり壊したり妨げたものであり、かつ、本人に通常はその能力があるにもかかわらず、システム・組織・社会などが期待するパフォーマンス水準を満たさなかったもの」(「失敗のメカニズム」 芳賀 繁著 角川ソフィア文庫)と書いてあります。

 

この定義を美容治療に該当させてもう少し簡略化してみますと、「美容における広義の失敗とは、患者の治療に対する認識および了解後に担当医師が行った施術において、患者または医師の意図に反した結果をもたらしたもの」ということになると思います。広義と表現したのは、次のような組み合わせがあるからです。

 

この「患者または医師の意図に反した結果」がもたらされた場合に、以下の組み合わせが考えられます。

Ⅰ 医師も患者も不満足であると認識した場合 

Ⅱ 医師は不満足であるが、患者は満足している場合

Ⅲ 医師は満足しているが、患者が不満足な場合

Ⅱも私は経験ありますが、非常に少ないです。まず問題になるのはⅠとⅢの場合になります。どちらか一方が満足しないという場合も大きな問題をもたらします。

つまり、このⅠとⅢの状況を防ぐことが、重要なのです。

この「広義の失敗」についての諸要素を項目別にしてみます。必ずしも「ヒューマン・エラー」につながるわけではありませんが、少なくとも影響する可能性の大きい要素です。

 

1 カウンセリングの段階での医師と患者の認識不足

 

患者のご希望を医師が把握できていない場合

医師の理解が不十分な場合には選択する治療法自体が適切でない可能性が出てきます

例 たとえばフェースリフトのような手術が必要な場合に脂肪注入を行うなど

 

治療方針は適正だが、その程度が把握できていない場合

例 二重を作る目的で埋没法を行うことは適正だったが、二重の幅が患者の希望ではなかった場合など

 

患者の理解が不足している場合

このケースは、二通りの原因があります。 

医師の説明が不足している場合

患者の理解が得られていない場合

その治療法自体の説明が足りないと、施術後の経過において患者様にとっての想定外の状態になってしまうため、あたかも「失敗」したように認識されてしまう場合があります。

手術以外でもあります。例えばホクロのレーザー治療の場合、私は一般的に回数がかかる場合がほとんどであると考えていますが、そのように治療に回数が必要であることを説明していない場合は、たとえ「予想通りに」ホクロが残ったとしても、患者側にとってはレーザー治療の失敗に判断されてしまう可能性があります

このような誤解は、事前のカウンセリングで治療経過を説明することで回避することができます。

この①と②の場合は、理解不足のままで施術の段階まで進んでしまうと、重大な問題を発生させる原因となりうると思います。

 

2 施術の段階での問題

 

施術前の麻酔での問題

麻酔の適量を間違える場合: これは、局所麻酔であればその方の体重から計算して得られる極量を超えないようにすることと、もしも過去に麻酔をしたときに何か問題があった場合はそれを考慮して使用するなどの対応があります。

選択した治療法での想定外の経過

その手術を行う経過で想定外のミスを起こしてしまうこと。例えば目的外で神経や血管を損傷させてしまうなど。

この問題は、ほぼ医師側の技量がそのまま反映されますので、医師が日々研鑽して技量の向上を目指すことが大切です。

適応でない治療を行う

これはカウンセリングの段階で、問題を残したまま施術に入った場合に発生します。

この予防は十分にカウンセリング を行い、医師と患者間の認識を合わせることしかないと思います。

 

3 術後経過での問題

患者の理解が不足している場合: これは、医師の説明が不足している場合と患者が理解できない場合があります。この両方とも、以下の場合があります

想定内の経過に対する問題

いわゆる一般的に見られる術後の脹れや内出血などの出現や脹れが強くなる経過です。施術を受けられた方から「ここまで腫れるとは思わなかった」という言葉が出る場合は、これに該当します。

これは経過を待つしかありませんが、事前の説明で十分に認識していくことである程度覚悟しておくことができます。

想定外の経過に対する問題

例えば、手術を行った部位を誤って打撲した場合などのハプニングを含めて、想定内の経過を逸脱する場合です。これは、その都度に早期対応していくことが重要です。

そのため、施術を受けられた方にも医師に相談してもらうという協力が必要になります。

 

4 予防対策

 

事前のカウンセリング

理解・把握医師は患者様のご希望・ゴールをできるだけ具体的に把握する

説明医師は、そのご希望に応じて治療法を選択し、その治療法について十分な説明をする。もしも治療可能な手段が複数ある場合は、すべてにおいて可能な範囲で説明する。

理解・選択: 医師は患者に治療法の選択理由、治療法のアウトライン、利点と欠点、副作用などの説明を行う。患者はその内容を把握し、複数の治療がある場合は医師の提案を参考にしながら、治療法を選択する

 

私は、複数の治療法がある場合は、こちらからの提案はできますが、どの方法を選択するかは、施術を受けられる方に最終的にご判断していただく方針にしています。当然、ご家族の方とご相談していただいて構いませんし、私も提案させていただきます。

何故このような方針を取っているかといいますと、いろいろな治療法の利点や問題点などの特徴を考えてもらい、ご自身のお仕事やご家庭のご都合などから判断してもらわないと、部外者である私の判断では理解できないプライバシーの問題(私には伝えていない事情)なども影響してくるからです。

 

お互いの信頼: 施術を行う側も施術を受ける側もお互いを信頼できる関係を築く

 

施術

事前に確認し、決めた内容を行う

施術を行う当日も、施術前に予定した内容を再確認すると共に、ご希望内容も再確認します。例えば二重の場合には、カウンセリングの時に希望された幅と異なる希望に変わってしまうことがあるからです。

また、施術中に何らかの問題が発生する可能性があります。予定した手術が実際には困難な状況であったとわかった場合で、予定した内容が無条件にできない場合は、いったん中止するか、十分な説明を行います。

この場合は、私は内容にもよりますが原則的にいったん中止することが最善と思います。

なぜなら、もしも手術台に横になった状況では、患者側も冷静な判断ができないことが多いからです。

 遡って言えば、当然ながらこのような状況はできるだけ起こらないようにするが医師としては重要です。しかし、「将来的に絶対にこのような問題は起こさない」という決意は持てますが、たとえ極わずかであってもこのような状況が起きる可能性は否定できません。

その事前対策ですが、事前のカウンセリングの段階でできるだけ熟考することで、このようにならないように努めていくことになります。

その日の患者の体調なども確認する

当然ですが、熱があったり調子が悪い時には、状況に応じて予定を中止することも考えます。

施術を受けられる方にとっても、その日に合わせていろいろな段取りをされて来られているので、多少は無理をしてでも治療を行いたいという場合もあるでしょう。しかし、このような「無理を押して」行った場合に問題が発生する可能性は高くなります。

 

術後経過

定期的に診察を行う

消毒や抜糸など必要な処置を行います。当院では私一人なので私が行いますが、複数の医師がいる施設でも、原則は施術を行った医師が行うべきことと考えています。手術法は同じでも、一人ひとりの患者に行う内容は微妙に違うからです。細かい観察をして、何か変化があれば先手先手で対応していきます。この対応がスムースに行えるようにするには、やはり施術した医師が一番適任であると思います。

何かあれば、相談してもらう

術後経過で、何か気になることがありましたら、ご相談していただくことが大切です。これは患者様にお願いすることになりますが、言い換えれば、医師側も相談しやすいようにすることを心がけないといけませんし、そうなるように心がけていきます。

その他

治療法についても、年々進歩していますので、医師も研鑽を積んでいくことが重要です。治療内容を向上させるためにも、日ごろからアンテナを張っておくということになります。

 

 

以上、「ヒューマン・エラー」の項目として長々と書きましたが、ご参考になりましたら幸いです。

私は、自分の考えを相手に伝えるということについて言えば、100%を完全に伝えることは非常に困難であると考えています。もっとはっきりといいますと、完全に伝えることは不可能であると思っています。これが基本的な土台になっています。ですから、できるだけ100%に近い内容をお伝えするためには、時間をかけて内容を確認するしかないのです。

できるだけお伝えする内容を統一するために、埋没法などいろいろな治療法をパソコンを使用して ご説明することが多いですが、それは以上のような理由からです。説明が抜ける事をできるだけ避ける目的があります。

これからも加筆及び修正していくと思いますので、その時にはトップページでお知らせいたします。