美容医療の奥底
美容カウンセリングの重要性
美容相談に来られる皆様には、色々なお悩みがあります。
例えばシワでも、額のシワ、目じりのシワ、眉間のシワ、目の下の小じわ、法令線のシワなど色々あります。
二重の相談でも、一重の方が二重まぶたになりたいと言うものから、今の二重の幅を広くしたい、左右の違いをなくしたいというものや、上まぶたの落ち窪みが気になるというお悩みまであります。
これらの美容相談に来られた皆様の、来られるまでの経過についてですが、多くの方が似たような経過をたどっておられるようです。
まず、何らかの切欠があります。鏡を見ていてふと気付いたとか、周りの方から指摘されたなどです。
そして、そのことが気になります。それを意識しながら日々の生活を送っていると、そのうちに「やっぱり気になって仕方が無い」というレベルに達します。
そしてインターネットのホームページや掲示板などの色々な情報を元にして、あるクリニックを選択しカウンセリングを受けられるという流れです。
「ある悩みがある」という問題点を解決するためにアクションを起こすという考え方は、全く問題ありませんし、それがよい手段と考えておりますが、時々気になることがあります。
「ここをこう治せば、全てが解決する」というようなお考えの方の場合、言い換えれば特効薬のような治療を希望される方の場合は、満足度は高くないことがあります。
私の経験からいいますと、「恐いように見えるのを治したい」「可愛く見えたい」などの、ちょっと漠然としたようなご希望の場合は、「この治療にはこれしかない」と限定されるような一般的手段というものは無く、個人個人で色々な方針を考えることになります。
あくまでもその方の好みなどが基準になりますが、かならずしも一箇所だけ治せば良いとは断言できません。
勿論、一箇所の改善で良いというような場合もありますが、複数の問題があることの方が実際には多いと思います。だから、その方とのご相談の中で 具体的に局所的に絞って、治療方針を決めるということになります。
例えば、「目を二重にする」とか、「下まぶたのシワを改善する」とか、「口もとのたるみを改善させる」などの具体的な内容です。 「可愛くする」「若く見えたい」といっても色々な場合がありますし、その方がどこをチャームポイントだと認識されておられるかなども基準になります。どれか一つにするのか、複数にするのかは、その方とのご相談の中で決まっていくことになります。
ご自身が気に入っておられるところをさらに改善するという場合もありますし、逆に気になるところを改善させるという場合もあります。
アンチ・エイジング的な治療でも、「若く見えたい」というご希望の場合、お顔のシワが多い方ではシワの治療になるでしょう。また、それらの中でもどの部分の治療を優先させるかという問題になってきます。勿論顔全体のシワ治療ができればそれに越したことは無いのですが、やはりコストなどの問題からどうしても局所的に絞らざるをえないという場合があります。その場合は、その方のご希望をお聞きしたり、客観的にここを治せばよいのではないかということを私がご提案させていただくことになります。
この問題について具体例をお見せしながら書きたいと思います。
あるケースでご説明します。
会社の重役クラスの男性の方がご相談に来られました。「眉間に深い縦ジワがあり、いつも怒っている様に見られるので何とかならないか」というご相談でした。
その方には、眉間の縦ジワにヒアルロン酸注入を行なうという比較的わかりやすい手段で 、改善させることができました。このケースでは、実際にはご本人がもうあまり気にされなくなったので問題ないのですが、もしも眉間の縦ジワが改善すれば、怒っていない印象になる、とあまりに期待が強い場合は、一寸問題になります。
つまり「まだ怒ったように見られているのではないか」というように自分が感じる場合です。このような場合に皆様が希望される経過ですが二つあるように思います。
①さらに同じ施術を繰り返していく
眉間のシワが深い場合は、どうしても1回の注入で改善させられるレベルは限界があります。わかりやすくいうと、そこに「折れグセ」がついているということと、その様な深いシワができるということは日頃からその様な表情をしてしまうという「クセ」があるからです。表情のクセはどうしようもない場合でも、数回注入をしていくことで、かなり「折れグセ」をつきにくくすることは可能だからです。
②「怒っているように見える」原因となる他の局所的要素を改善させる
眉間のシワ以外でも、例えば「目が細い」ということも原因かもしれないと考えられて、埋没法を希望させるというケースです。このように他の部分も改善させるということは、状況を見ながら判断することになりますが、時に有効となります。
上記の①も②も、適応となる場合はありますので、方針自体は問題ないと思います。 しかし、これら以外の方針もありうるのです。
上記の具体例で言いますと、「恐いように見える」という原因ですが、ご本人は「眉間のシワ」という局所的な原因に行き着いたのですが、本当はその様な単なる局所的な問題だけではないのかもしれません。
たとえば、言葉遣い、声の大きさ、目つき、所作の振る舞い、体格などその方全体からくる影響も関係している可能性があります。ですから眉間のシワは怒ったように見える原因の一つにすぎないのかもしれないのです。
というわけで、眉間のシワを改善させたことはあくまでも「恐いように見えない」ようにするための一手段と考えていくことが大切です。
勿論、その施術で問題が解決する場合はそれで良いのですが、まだ何か気になるという場合は、局所を改善させると同時に、「他にも原因となるところはないのか」と自分を見つめることが必要になります。
医師としましては、ご希望である局所の改善を図りながら、他にも問題点がないかという点も考えながらカウンセリングを行ないます。むしろ改善にむけてのアシストをするという感覚です。
その方の視点だけではなく、客観的な見方をすることで、問題点の解決を模索しながら、一緒に解決していきましょうという考えです。
別にここはこうしろ、こちらはこれをした方がよいなど、どんどん治療を勧めるという意味ではありません。実際、私のカウンセリングでは、治療目的とかけ離れたような他のものを勧めるということはほとんどありません。ご相談の内容に応じて、その改善方法であればこういうものがあるという説明を行なっています。
むしろ私の印象では、その様な局所的な対症法ではなく、ご自身の考え方や生活習慣の改善などに目を向けていくという場合も少なくないと思っています。
ただ、例えば局所的なシミが気になるという場合に、お顔全体のクスミを改善させたほうが良いというご提案をさせていただくことはあります。この場合は、患者様のご相談の内容を私がお診せいただいた判断から、ご本人は局所のシミの「かさぶた」のできるレーザー治療を考えられていたとしても、逆にシミが濃くなるなど、あまり適切な手段ではないと私が判断して、その治療の問題点をお話した上で、別の方法もご説明するということになります。
ある施術を行なった結果、ご満足いただけたのであればそれで問題ありませんが、もしもまだ気になるという場合には、その原因をもう少し深く考えていくことが必要になります。
色々なケースがありますから、一概にはいえませんが、私としましては基本的にはご相談の内容に応じて、局所の改善についてシンプルなわかりやすい方針(たいていの場合、複数になります)をお話ししていきつつ、 その方が希望される方針を進めながら、その問題点の全体象を見据えることになります。
私にとって、カウンセリングに時間がかかるのはその様な理由もあります。



